2014年 01月 16日
遠藤彰子展
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1000~1500号のキャンバスで埋め尽くされた部屋。圧倒、絶句。ミケランジェロの天井画を見たときのような、一人の人間が為せる業の偉大さを感じずにはいられない。
遠藤先生との出会いを少しお話しすると、初めて作品を見たのは26年前、中1の美術の教科書で。「路(みち)」と題された絵で、町が動めくような不思議な世界と懐かしさを感じる雰囲気が子供心に強く印象に残るものでした。美術の教科書に載る作家なんて巨匠か物故だと思っていましたが、後になって考えるとその作品は当時の新作で、先生はまだ40歳くらいだったわけです…。
その後ムサビに入ると、先生は非常勤講師でいらしていましたが、魔女のような風貌と中1の時の「巨匠」のイメージが強く、恐れ多くて近寄ることもできませんでした。当時は個人教授制で、僕は松樹路人教室に入ったので、遠藤先生とはあまり接する機会がないまま、2~3回のご指導をいただいたくらいで卒業。
卒業後どこの公募団体に出品するかは大学3年頃から考え始めましたが、知り合いの多い独立展や松樹先生に強く勧められた白日会ではなく、つながりのほとんどない二紀会を選びました。ここらへんの心情を詳しく話せばもう少し長くなりますが、「二紀には遠藤彰子がいる」ということが決め手となりました。
その後二紀やムサビでお話させていただく機会も増え、先生の優しいお人柄にこちらもつい親しげになってしまいますが、内心は今でも恐れ多い雲の上の存在なのです。
というわけで、是非見ていただきたい展覧会です。「画家」という存在、平面の絵画が持つ底知れない力を体感できるはずです。
上野の森美術館で1月28日まで、無休。
by ryo_shiotani
| 2014-01-16 00:00