フレスコ (3)

漆喰の水分が吸収されて壁が引き締まってきたら、上に下絵を置いて尖筆でなぞる（インチジオーネ）。この溝が描画の時のアウトラインとして目安になるわけですが、ウフィッツィのフィリッピーノ・リッピのテンペラ画などにも刻まれていました。絵肌が繊細なテンペラの場合、このへこみが目立つので結構気になる。ちなみにミケランジェロの実作はスポルヴェロと併用して転写していることが図版のアップ等から読み取れます。ここから時間との勝負。壁が乾燥するまでの８～１０時間で予定の所まで完成させなくてはなりません。とりあえず水をたっぷり打つようテールベルトのおつゆで軽くデッサン。（今回は自由模写のため、オリジナルの描き方を正確に再現するものではありません。描きやすいように描いています。）