ピサ

フィレンツェから西へ１時間半、ピサへ。ピサ中央駅からドゥオモ広場まではバスで１５分くらいですが、不思議なことに街の中心ではなく、城壁沿いの一番角にその広場はあります。バスを降りたとたん、城壁越しに斜塔が。城壁内は「奇跡の広場」と形容される通りの素晴らしく美しい空間でした。イタリアの多くの広場を見てきましたが、これほどのスケールの大きさと開放感は初めて。手前から洗礼堂、ドゥオモ、斜塔（鐘楼）。
ドゥオモのファサードはじめとしたピサ・ロマネスク様式は、多くの街の教会に影響を与えた元祖ともいえるものです。
それにしてもロマネスク時代のものとは思えぬ綺麗さ。近年の修復と念入りな洗浄で、経年による深みまで落としてしまったよう。修復の難しいところです。
ドゥオモ内部の装飾品は新旧入り混じった見応えのあるもの。後陣ドームの「玉座のキリスト」像は１３世紀のモザイクで、チマブーエの手も入っているらしい。１７世紀前後の油彩画大作が並ぶ中で、アンドレア・デル・サルトの中品、「聖ペテロと洗礼者ヨハネ」「聖アグネス」が光っていた。ジョバンニ・ピサーノの説教壇も凄い出来。上部に彫られた聖書物語の浮き彫りが圧倒的で、見入ってしまいます。一つの大理石からここまで彫り出す執念たるや凄まじきかな…