2009年 04月 05日
パドヴァ
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近年の修復のおかげで、息を呑むような美しい天井のブルーがまず目に入ってくる。クリスチャンでなくともやさしく包み込まれるような感覚は、まさにインスタレーションの原点。1点づつ眺めると、装飾をいっさい排除し、主題のみの簡潔な表現で聖書のドラマを表しているので、ジョットの革新的な構築性がよくわかる。感情表現が明快でわかりやすく、当時の鑑賞者はその写実性に驚いたことでしょう。
ふとブランカッチ礼拝堂のマザッチオと重なった。ジョット直系ともいえる天才マザッチオを連想することは逆に言えば100年以上前に成し遂げたジョットの天才を思わずにはいられない。
礼拝堂を出て市立博物館へ。ここでも違う意味でびっくり。監視員が各部屋にいて、順路を案内してくれたり重要な絵を見逃さないよう教えてくれたりするのだ。「ジョットの作品は真っ直ぐ行ったところよ」「ティエポロはこの裏だからね」「ズッケルマン博物館はこの券を見せるだけで入れるから必ず行って、素晴らしいところだから」という具合に聞いてもいないのに親切に教えてくれる。こんなのイタリアでは初めて。パドヴァの人は街を愛し、美術品を大事にしているんだなぁ。
ウフィッツィなんて監視員不足で展示室をたくさん閉めてるし、監視員いても携帯でメールしてるか、おしゃべりに夢中。


by ryo_shiotani
| 2009-04-05 00:00
| フィレンツェ留学記