2008年 12月 10日
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会
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フィレンツェの冬は底冷えすると聞いていましたがここ数日はまさにそんな感じで、外に出ると冷凍庫に入ったようです。今までの服装でチェントロを歩き回っていたせいか、悪寒を感じたので早めのパブロンで12時間以上寝ました。今日はアペリティーボの会(1杯のお酒代で楽しめるバイキング)のお誘いをうけていたのですがドタキャンさせてもらいひとり家でじっとしています。
一昨日はサンタ・マリア・ノヴェッラ教会を拝観。フランチェスコ会のサンタ・クローチェ教会に対するドメニコ会の教会として1246年に建設が始められましたが、母体となる教会堂は10世紀にはすでに建っていたそう。 ファサードは下部が14世紀半ばのもので、上半分は15世紀にアルベルティの設計で完成。サン・ミニアート・アル・モンテ教会などと同じくフィレンツェ独自の様式で、白と緑とピンクの大理石が清楚で美しい。 アルベルティの優雅なデザイン。このファサードの完成に漕ぎつくにはルチェッライ家の多額の支援があったようで、教会内にはルチェッライ家礼拝堂があり、ファサードには家紋を連続模様として埋め込ませたりしています。謙虚なんだか傲慢なんだか…。 順風満帆を意匠化したルチェッライ家の紋章。
これは1572年コジモ1世が天文学者に依頼して設置させた日時計。権力のある方々は何処にでもモニュメント残します。
教会内の撮影は禁止になってしまったのでWikimedia Commonsより拝借。美術館なみに重要な作品が多くどれも見逃せないという感じですが、中でも堂内中央部の天井から吊るされて中空に浮かぶジョットのキリスト磔刑図には驚く。これは作品を鑑賞するというより体感するという感じで、広い会場の空気を一点に集約するような引力がありました。 マザッチオ「三位一体」。正確な一点透視図法を用いて描かれた最初の作品として有名ですが、最晩年(なんと27歳)に描かれた作品としても重要です。この時期のフィレンツェはファブリアーノらの国際ゴシック様式と呼ばれる平面的装飾的で繊細華麗な絵画が流行している時代でした。そんな中、27歳の青年が深い空間表現と感情表現といったリアリズムを追求し、絵画におけるルネサンスが幕を開けたことを思うと感慨深い。
他にも旧ストロッツィ礼拝堂にあるオルカーニャの多翼祭壇画「玉座のキリストと諸聖人」と中央礼拝堂のフレスコ画 ギルランダイオ「聖母マリア伝」が素晴らしかった。「聖母マリア伝」が制作された1485~90年はこの頃ギルランダイオに弟子入りした10~15歳のミケランジェロがこの絵を手伝ったと言われており、そんな様子を想像しながらの鑑賞。楽しみにしていたブルネッレスキの「十字架像」はゴンディ礼拝堂の修復のため拝見できず。
そして感動したというより面白かったのがこれ、 フィリッピーノ・リッピ「聖ヨハネとピリポ伝」(部分)。父のフィリッポ・リッピと師匠のボッティチェッリに挟まれイマイチ地味なフィリッピーノですが、漫画的な才能は群を抜いている感じ。北斗の拳入ってます。
教会を出たら優しそうな足の悪いおじいさんが近寄ってきて、開口一番「ここはな、ジョット、マザッチオ、ブルネッレスキ、フィリッピーノ、ギルランダイオ、etc etc…の作品がある美しく素晴らしい教会なんじゃよ、ふぉっふぉっ」みたいなことを言って去っていきました。そのおじいさんの行方を目で追っていると、他の観光客にも同じことを言って回ってるようで、なんとなく温かい気持ちになりました。
一昨日はサンタ・マリア・ノヴェッラ教会を拝観。フランチェスコ会のサンタ・クローチェ教会に対するドメニコ会の教会として1246年に建設が始められましたが、母体となる教会堂は10世紀にはすでに建っていたそう。
他にも旧ストロッツィ礼拝堂にあるオルカーニャの多翼祭壇画「玉座のキリストと諸聖人」と中央礼拝堂のフレスコ画 ギルランダイオ「聖母マリア伝」が素晴らしかった。「聖母マリア伝」が制作された1485~90年はこの頃ギルランダイオに弟子入りした10~15歳のミケランジェロがこの絵を手伝ったと言われており、そんな様子を想像しながらの鑑賞。楽しみにしていたブルネッレスキの「十字架像」はゴンディ礼拝堂の修復のため拝見できず。
そして感動したというより面白かったのがこれ、
教会を出たら優しそうな足の悪いおじいさんが近寄ってきて、開口一番「ここはな、ジョット、マザッチオ、ブルネッレスキ、フィリッピーノ、ギルランダイオ、etc etc…の作品がある美しく素晴らしい教会なんじゃよ、ふぉっふぉっ」みたいなことを言って去っていきました。そのおじいさんの行方を目で追っていると、他の観光客にも同じことを言って回ってるようで、なんとなく温かい気持ちになりました。
by ryo_shiotani
| 2008-12-10 00:00
| フィレンツェ留学記